CAP-15自走カノン砲
要目
全長12.5m
車体長7m
全幅3.6m
全高3.6m
重量50t
速度75km/h(整地)
60km/h(不整地)
(いずれも最大戦闘重量時)
乗員5名
搭載兵装60口径152mm滑腔砲
12.7mm重機関銃(砲塔上面)
40mmグレネードランチャー(砲塔上面)
エンジン1800馬力ディーゼル・ガスタービン複合エンジン

概要

CAP-15はグラン・メキシコ軍が運用している自走榴弾砲。グラン・メキシコ軍は伝統的に長射程の榴弾砲を全て「カノン砲」と呼称しており、本車両も「自走カノン砲」に分類されている。従来のCAP-90 152mm自走カノン砲を代替するため、「共通重装軌車両」として開発された「レオン」装甲戦闘車両共通プラットフォームに基づいて開発された。より延長された射程を持つ新しい砲システム、より改良されたC4Iシステムが、より高い戦術機動性・整備性を持つ新しい車体に搭載されていることで、現代戦に適合した新たな自走砲となっている。ユニットコストは2022年現在、米ドル換算で360万ドルである。グラン・メキシコ軍はCAP-15を2030年までに1200両調達して既存の152mm自走カノン砲を将来的に代替する方針である。

能力

火器

主砲
CAP-15の主武装となるのは、大型砲塔に装備された長砲身カノン砲「C-15」である。前任のCAP-90に搭載されていた「C-90」の口径長は42口径、改良型であるCAP-90Aに搭載されていた「C-99」の口径長は52口径であるのに対し、本車両の搭載する「C-15」の口径長は60にも達し、砲身の長さは9mを超える。前任のCAP-90と同様に砲口径は152mmで、従来グラン・メキシコ軍が運用してきたあらゆるタイプの152mm砲弾の運用能力を備えている。長砲身化されたことにより従来と同じ砲弾を使用しながら従来よりも遠距離を砲撃することが可能である。例えば、1990年にCAP-90と同時に採用された「APE-90」高性能通常榴弾を発射した場合、CAP-90では25km、CAP-90Aでは30km先の目標までしか攻撃することができないのに対し、CAP-15では最大で42km先の目標を攻撃することができる。

「C-15」では、軽量かつ耐久性の高い砲身を製造するため、複合材料と高強度鋼を組み合わせた砲身を採用している。チタンやバナジウムを含有する高強度鋼製チューブに0.2mmの炭化ケイ素繊維が巻き付けられ、プラズマスプレーによりアルミ合金でコーティングされている。砲身の体積のうちおよそ50%は複合材となっている。また耐腐食性向上のため、砲身内部はクロムメッキが施されている。これにより、砲身の寿命はかなり長く、最大量の装薬を用い続けた場合でも4000~5000発射撃することができる。砲身は迅速に冷却できるよう水冷式を採用しており、砲身外部は冷却用の筒で覆われている。強力な152mm砲弾の衝撃を吸収するため、砲口にはライフリングに沿って螺旋状に開口された多孔式砲口制退器(マズルブレーキ)を備える。またマズルブレーキ横には砲口照合装置が搭載されており、砲基部のレーザー送受信部と組み合わせて砲身の歪みを検知する。

「C-15」の最大の特徴は、その特殊な点火システムにある。「C-15」では、低温同時焼成セラミックスを用いたマイクロ波発生装置によって装薬を燃焼させる。これにより、装薬全体を従来よりも高いエネルギーで加熱することができるため、装薬の極低感度化による生存性向上と、装薬温度に関わらない安定した燃焼や、各砲弾の製造時の公差に起因する燃焼開始タイミングのバラつきの改善による精度向上を実現している。プラズマ点火システムと比較すると、装薬へ伝達される熱エネルギーは使用電力の割に小さいが、プラズマインジェクタを組み込んだ専用装薬でなくとも射撃可能であるという利点を有する。
砲弾
CAP-15では、多種多様な砲弾を使用可能である。1990年代、CAP-90の配備と並行して「モジュール砲弾・装薬システム」が整備され、分離式のモジュール装薬である「CS-90」、モジュール化された信管を備えた「APE-90」高性能通常榴弾および従来の瞬発、延期、近接信管を全て代替する「EA-90」多目的信管が軍内に普及された。この他、「CS-90」を用いて発射可能な各種砲弾として、「OR-95」対人/対車両クラスター弾、「OR-03」対戦車クラスター弾、「APEG-99」レーザー誘導砲弾、「APEG-01」精密誘導砲弾が開発された。CAP-15の開発に当たっては、「モジュール砲弾・装薬システム」についても一新することを目的に、前述した新型の点火システムに対応して「第二世代モジュール砲弾・装薬システム」が整備され、より低感度でかつ強力なユニチャージ装薬である「CS-15」、より強力な破壊力を持つ砲弾である「APE-15」高性能通常榴弾、、「OR-18」対戦車クラスター弾、「APEG-15」長射程精密誘導砲弾、「APEG-19」精密誘導砲弾、さらにより新しい信管である「EA-15」弾道修正機能付き多目的信管が開発されている。ここでは、上記の砲弾、装薬、信管について解説する。この他、設計上はさらに旧式の砲弾や装薬や信管を使用することも可能であるが、ここでは解説しない。

砲弾

装薬

信管

自動装填装置
グラン・メキシコ軍が従来運用してきたCAP-90自走砲では、砲弾については完全自動装填が達成されていたが、装薬については手動で装填することとされていた。CAP-15では、装薬についても完全自動装填化を達成しており、これにより乗員はCAP-90の5名から4名にまで削減されている。

自動装填装置は全電動式で、10秒間に最大4発のバースト射撃を、1分間に最大10発の持続射撃を行うことが可能である。自動装填装置は主砲の俯仰角に自動的に連動して砲弾を装填する能力があり、主砲最大仰角の75度時でも砲弾の装填が可能である。砲塔内の弾薬庫には50発分の砲弾と樹脂製カートリッジに格納されたモジュール式発射装薬250個が搭載可能で、内部に搭載されている砲弾の種類と数量は、デジタル式の弾薬管理システムで管理されている。このシステムを用いることで、砲手は使用する弾薬の種類を速やかに選択することが可能である。また、外部からの給弾による射撃も可能で、その場合は砲塔後部から装填コンベアを引き出し、ここに砲弾と発射装薬を載せることで、半自動装填方式で射撃を行う。さらに、自動装填装置が故障するなどした場合には、全ての装填作業を手動で行うこともできる。
その他の武装
CAP-15自走砲は、砲塔上部にユニバーサルタレットシステムという名称で開発された「TU-01」複合リモートウェポンステーションを搭載することが可能である。通常、ここには12.7×99mm弾を使用するAP-98重機関銃と、40×55mm弾を使用するLGA-96グレネードランチャーが搭載されることとなっている。可視光カメラモードと赤外線カメラモードに切り替え可能な光学照準器とレーザー測距装置を有し、車長が車内から操縦して目標を攻撃することが可能である。
また、主砲同軸に7.62×51mm弾を使用する汎用機関銃AM-62を搭載している。

ベトロニクス

射撃管制システム
CAP-15の射撃管制システムは、デジタル式の高性能弾道コンピュータを中核に構成されており、デジタル式弾薬管理システム、自己位置標定システム、電流式信管調定装置、後述する「RCEDT」データリンクシステム用の通信端末などに接続されている。発射時には、統合火力指揮統制所で計算された射撃諸元および使用すべき砲弾と装薬など各種データを受信し、受信データに基づき指定された種類の砲弾および指定された種類・個数の装薬をデジタル式弾薬管理システムを経由して装填、続いて衛星測位システムと慣性航法装置を利用する自己位置標定システムにより自己位置を確認、適切な射角を計算して射撃する。自己位置標定システムが使用不可能な場合は砲向盤、パノラマ眼鏡、コリメーター、標桿などを利用して諸元を入力することができる。ただしこの場合、射撃陣地への進入から射撃までにかかる時間が大幅に長くなってしまう他、入力ミスやそれに伴う弾着位置のズレなどが発生するリスクがある(射撃に使用される方位角の単位「ミル」は、円周を6400等分した単位であるが、長大な射程を有する自走砲においては、1ミル間違えるだけであっても、10km先の目標に対しては約10m、50km先の目標に対しては約50mもの弾着のズレが生じてしまう)。
データリンクシステム
CAP-15は、「MCGC-PVC(戦闘車両向け大容量通信モジュール)」を搭載しており、地上軍、海軍、航空宇宙軍が共同開発した「RCEDT」戦術データリンクシステムに対応している。「MCGC(大容量通信モジュール)」は、あらゆる軍種と兵科に共通の高性能通信装置を支給することを目的に開発されており、HF、VHF、UHFでの通信に対応、従来の全ての軍用無線および軍用ネットワーク端末を代替する。必要に応じて、無線機本体に、衛星通信アンテナ、データリンクと射撃管制システムの橋渡しを行う高性能演算装置、長距離通信のリアルタイム性を高めるために必要なセシウム原子時計など各種モジュールを追加してアップデートすることが可能である。CAP-09では、無線機本体に、衛星通信アンテナを搭載している。「MCGC-PVC」により「RCEDT」に対応したCAP-09では、火力戦闘支援システム、諸兵科統合戦闘指揮システムなどの各種サブシステムにアクセスできる。

火力戦闘支援システムは、前線の近接戦闘部隊、観測車両、観測用無人機と、各大隊、連隊、旅団、師団隷下の砲兵部隊、空軍の近接航空支援機やマルチロール機、前線航空管制部隊、そして当該システム運用のために新設された統合火力指揮統制所を接続するシステムである。前線の近接戦闘部隊、観測車両、観測用無人機が収集した情報は迅速に処理され、火力支援任務に必要とされる各火砲・砲弾または各航空機と兵装が選定され、各種射撃諸元が計算され、砲兵部隊や航空機にそのデータが転送される。これにより従来よりも遥かに迅速かつ効果的な火力支援が実施可能となる。CAP-15はこのシステムに組み込まれ、シューティングユニットとして実際に火力支援任務を担当する。

諸兵科統合戦闘指揮システムは師団戦闘指揮システムを発展させたもので、中隊以下の部隊が所持する携帯端末、中隊以上の部隊本部が装備するラップトップ端末、大隊以上の部隊本部に設置される情報処理装置を用い、敵味方の各部隊や車両などの位置を師団内の戦術状況共通図で共有し、指揮統制の効率化を目指すシステムである。このシステムについても、前述した索敵システムと連接されており、発見した目標について従来のように車長が手動で目標を入力する必要はなくなっている。さらに2021年より、各種端末に、AIを導入した戦術状況判断サポートシステムが導入されている。このシステムを利用することで、リアルタイムに変化する戦場の情報を常に更新、AIがその情報とより上位の部隊指揮官からの命令を基に最適な判断をサポート、部隊指揮官はより迅速に適切な意思決定が行えるようになる。下車戦闘中の歩兵ならば分隊単位、戦闘車両については1両単位、無人機や回転翼機などの航空ユニットについては1機単位で表示される。

防御力

装甲
CAP-15においては、砲塔と車体の全周で152mm砲弾の破片の直撃に抗堪し、また天板装甲についてはクラスター砲弾やクラスター爆弾によって散布される成形炸薬子弾の直撃に抗堪することが要求されている。砲塔装甲および車体装甲はT-10主力戦車やT-15主力戦車と共通の新型均質圧延装甲を採用している。鋼板内の結晶を微細化することにより、同重量の装甲で、CAP-90の均質圧延装甲よりも15~20%程度防御力を向上させている。また、温度変化による防御力低下に強く、昼夜の寒暖差が非常に激しい砂漠での戦車戦でも安定した防御力を発揮する。天板装甲については通常の均質圧延装甲と耐火ゴムを組み合わせたものとなっており、耐火ゴムが空間装甲の役割を果たす。各部の装甲はボルト止めとなっており、被弾時に前線で容易に取り換えることが可能である。
耐弾試験においては、要求通り、全周で152mm砲弾の破片の直撃に抗堪、天板装甲についても152mm砲弾に運搬されるMPDP(二用途小型弾頭)クラスター子弾の直撃に抗堪することが確認されている。またグラン・メキシコ軍の公開した動画では、車体正面装甲が30mm機関砲弾1発の直撃に抗堪している。
乗員配置
乗員配置は、砲塔に車長と砲手と装填手が、車体に操縦手が搭乗する方式である。本車では、砲弾と装薬両方の装填が自動化されたため、当初乗員を車長、砲手、装填手2名、操縦手の計5名から、車長、砲手、操縦手の3名まで削減する計画であった。しかし、射撃陣地の構築、車体の清掃や整備などの各種作業における乗員の負担を軽減する必要があることなどを考慮し、乗員数は最終的に車長、砲手、装填手、操縦手の計4名となった。車体および砲塔は完全な与圧式CBRNE防護装置を備え、NBC兵器によって汚染された環境下でも行動可能である。

機動力

エンジン・変速機
CAP-15は出力の割に小型軽量な水冷式の多燃料対応ディーゼルエンジン「MD-15」を搭載する。「MD-15」は排気量約30LのV型12気筒4ストロークディーゼルエンジンで、電子制御式のコモンレール式燃料噴射装置と可変ノズル式のツインターボチャージャーを搭載しているのが特徴である。ツインターボを動作させることによって、標高の高いメキシコ高原であっても高い機動力を維持することが可能である。ツインターボを動作させない場合の出力は最大1800馬力、ツインターボ動作時の出力は最大2100馬力に到達する。ただし、低地においてツインターボを動作させるとエンジン寿命を縮めてしまうため、基本的にツインターボは空気密度が小さく酸素濃度が低い高地に限定されている。このエンジンの大出力により、最大戦闘重量60t時であっても出力重量比は30に達する。また、「MD-15」エンジンは-50度から+60度までのあらゆる温度範囲で正常に動作し、また3重のエアフィルターにより99%を超える粒子を除去することが出来るため、砂塵の多いメキシコ北部の砂漠などでも使用可能である。燃料は車内に1500Lまで搭載でき、その航続距離はおよそ750kmとされる。また、車体後部に外装式の増槽タンクを搭載すれば、燃料搭載量は2000Lに増加するため、航続距離は1000kmに達する。この他、停車中にも各種ベトロニクスを使用できるようにするため、小型のガスタービンエンジンを補助発電装置として搭載している。

変速機には油圧機械式無段階変速操向方式を採用している。車両質量当たりの起動輪出力が大幅に向上しているため、従来のT-10主力戦車と比較し、旋回半径は半分となっている。エンジンと変速機はパワーパックとして一体化されている。小型軽量大出力の複合エンジンと油圧機械式・無段階オートマチック変速操向方式のトランスミッションの組み合わせにより、パワーパックの高効率・高応答化、そして小型・軽量化を実現している。最大戦闘重量時であっても、最高時速は整地であれば時速75km、不整地でも時速60kmに達する。なお、後退時にも前進時と同じ速度を発揮可能であり、迅速な陣地転換に役立つ。変速機は、時速30kmまで5秒以内に加速する優れた加速性能、時速50kmから2m以内に停車する制動性能を持ち合わせる。
操縦
操縦手は操縦士用潜望鏡の他、カラーディスプレイおよびヘッドマウントディスプレイを通じて全周監視システムの360度立体映像を確認することができ、これを用いて操縦を行う。また、T-10と同様、これまでの戦車ではメーター型だった各種計器をフラットパネル化している。操向装置には流体を使用したハイドロスタティック式操向装置が使用されており、スムーズな旋回が可能となっている。
懸架方式
転輪は片側7つである。従来の主力戦車と比較して転輪の数が増えた理由としては、奇数数の転輪の方が旋回性能に優れるため、という説がある。懸架装置としては、全転輪で可変ダンパーを備えたハイドロニューマチックサスペンションが搭載されており、さらに全転輪に装備されるショックアブソーバーと半自動地形判断機能により、極めて高い悪路走破性能を有する。またサスペンションはカノン砲の反動制御にも使用され、強力なCS-15装薬を最大量用いて射撃する場合でも全く問題なく射撃を行うことが可能である。

派生型

CAP-15

CAP-15は基本型。長砲身152mm砲を装備する。グラン・メキシコは毎年80両を生産しており、2022年現在の総生産数は560両である。

CAP-15E

CAP-15Eは輸出型。顧客の要望に応じ、データリンクを相手国オリジナルのものに変更可能である他、口径についても152mmまたは155mmを選択することができる。155mm砲搭載型はロスカナス共和国に輸出されている。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

運営以外編集禁止記事

メニューサンプル1

運営の補助記事

国家

国家

内政・外交

立法

行政

司法

外交

金融

観光

教育

国際社会・各種データ

国際情勢

国際法

国際機関

国際イベント

各国データ

インフラ

  • 鉄道一覧?
  • 各国の空港一覧?

軍事

軍事

産業

貿易

宇宙}

人物

人物

家系

その他

その他

歴史・設定

ランキング

  • 面積ランキング?

メンバーのみ編集できます