MCI-04歩兵戦闘車
要目
全長7.2m
全幅2.8m
全高2.4m
重量24t(防護レベル1)
28t(防護レベル2)
37.5t(防護レベル3)
40t(防護レベル3、ATM・ERA・APS装備時)
速度75km/h(整地)
50km/h(不整地)
(いずれも最大戦闘重量時)
乗員4名+兵員10名輸送可能
搭載兵装105mmガンランチャー
40mm機関砲(主砲同軸)
12.7mm重機関銃(砲塔上面)
7.62mm機関銃(主砲同軸)
エンジン1000馬力ディーゼルエンジン

概要

MCI-04歩兵戦闘車はグラン・メキシコ軍が運用する歩兵戦闘車。2004年に制式採用された。それまでのMCI-89を代替する歩兵戦闘車であり、歩兵戦闘車としては異例の大火力を有している。統合整備計画に基づいて、「レオパルト」装甲戦闘車両共通プラットフォームをベースに開発されている。従来の歩兵戦闘車と比較し、モジュール装甲システムの導入による防御力の強化や、大口径低圧滑腔砲の搭載による対陣地攻撃能力の強化、より高性能な火器管制システムおよびデータリンクシステムの導入などの点で優越しており、開発当時としては世界最高峰の性能を有していた。2003年より量産が始まり、翌年「MCI-04」の制式名称が発表された。

能力

火器

低圧ライフル砲
MCI-04は105mmガンランチャー「OLV-04」を主砲として搭載している。これは、従来の30mm機関砲や40mm機関砲の榴弾では、強力なコンクリートトーチカなどで構成された敵の防御陣地に対し威力が不十分であるとされたために開発されており、陣地攻撃用の榴弾砲と対戦車ミサイル発射装置としての役割を兼ねている。このため、「車載歩兵砲」などと呼称されることもある。陣地攻撃には目標に応じて通常榴弾、破片効果榴弾、粘着榴弾などを、対戦車戦闘には対戦車ミサイルを使用する。なおグラン・メキシコ軍は1960年代より105mm対戦車砲を運用しているが、「OLV-04」の最大薬室圧力は240MPaで105mm対戦車砲と比べて著しくく低く、当初よりAPFSDSなどの強力な砲弾の使用は考慮されていない。通常榴弾、破片効果榴弾、粘着榴弾などを発射する場合の初速はおよそ450m/sである。使用する砲弾は戦車砲などと比較してかなり低速だが、乗車分隊を下車させた後、敵陣地へ直接照準射撃を実施して分隊を援護する役目を負っているため、射撃精度が重視されており、温度の影響による砲身の歪みを防止するサーマル・スリーブや、砲身のゆがみを検出するレーザーを用いた砲口照合装置などが搭載されている。主砲は上下左右ともに0.1ミル単位で電気式2軸安定化を受けているため、乗員の指示で目標を追尾し続けることができる。また、各種榴弾の信管は誘導電流で動作モードを着発、遅延、時限の3モードで変更でき、必要に応じて、後述する火器管制システムと組み合わせ、曳火射撃を行うこともできる。
対戦車ミサイル
「OLV-04」からは、105mm対戦車砲での運用を想定して設計された対戦車ミサイル「MAT-79」対戦車ミサイルまたは「MAT-03」対戦車ミサイルを発射する。
「MAT-79」対戦車ミサイルはもともと、T-74主力戦車により強力な遠距離戦闘能力を付加するために開発されたミサイルである。6kmの射程をマッハ2の速度で飛翔する能力を有しており、レーザービームライディング方式で誘導される。通常、照準と誘導にはレーザー測距装置を使用する。最大射程で使用した場合でも到達時間はわずか10秒未満で、アクティブ防護システムを装備していない戦車ではミサイルに照準された場合対処することは難しい。弾頭はタンデムHEAT弾頭となっており、均質圧延装甲換算で600~700mmの装甲貫徹力を持つ。戦車の他、低速で低空を飛行中の攻撃ヘリなども交戦の対象となる。

「MAT-03」対戦車ミサイルは、「MAT-79」の後継として開発されたミサイルである。6kmの射程をマッハ0.9の速度で飛翔する能力を有しており、非冷却式の赤外線画像シーカーを搭載、撃ちっぱなしで誘導が可能である。必要に応じて、弾薬データリンクを介することによりシーカーの映像を車内に中継し、砲手または車長によって目標を選択して攻撃することもできる。ダイレクトアタックモードとトップアタックモードの2種類の攻撃モードがあり、通常はトップアタックモードでの攻撃を行う。トップアタックモードでは、発射されたミサイルはデュアルスラストロケットモーターで加速し、上空150m付近を亜音速で飛翔、敵戦車の脆弱な天板装甲を狙い撃ちする。弾頭はタンデムHEAT弾頭となっていて、均質圧延装甲換算で800mm以上の装甲貫徹能力を持つ。戦車の他、低速で低空を飛行中の攻撃ヘリなども交戦の対象となる。

加えて、改修型のMCI-04Mでは、より強力な15cm口径級対戦車ミサイル「MAT-09」が搭載可能となった。「MAT-09」は直径が152mmもあるため、砲塔外部に取り付けられる。通常は、後述する砲手用サイトの熱戦映像装置、レーザー測距装置、ミリ波レーダーのいずれかにより敵車両をロックオンして発射されるが、発射後ロックオンにも対応、光ファイバーケーブルで赤外線画像シーカーの映像を車内に中継し、砲手に映像内から攻撃目標を選択させることや、データリンクにより得た情報を元にシーカーの捜索範囲を指定して発射することも可能である。終末誘導では、赤外線画像誘導か、セミアクティブレーザー誘導を使用する。射程は10kmと非常に長く、タンデムHEAT弾頭により1200mmの装甲貫徹力を発揮できる。これは、角度と位置によっては第三世代主力戦車を正面から撃破しうるほどの数値である。なお、赤外線画像誘導を用いて終末誘導を行った場合、トップアタックモードを選択し、敵戦車の脆弱な天板装甲を狙い撃ちすることもできる。
自動装填装置
「OLV-04」は、砲塔底部のドラムマガジンから砲弾をホイストで揚弾する方式の自動装填装置を採用、毎分10発の速度で射撃を行うことができる。通常榴弾、破片効果榴弾、粘着榴弾など各種砲弾を最大18発マガジン内に格納することができ、これに加えて、車体に18発の各種砲弾と、8発の対戦車ミサイルを搭載するスペースがある。なお、対戦車ミサイルはサイズの問題から自動装填することはできず、砲手により手動装填される。自動装填装置は誘爆を防ぐため、ケブラー製の弾片防止ライナーを装備、被弾時に発生する侵徹体や装甲の破片から保護されている。また引火を防ぐため、自動消火装置も搭載されている。
機関砲
MCI-04では、敵の歩兵戦闘車などの装甲車両との交戦には、低初速の「OLV-04」ガンランチャーは不向きとして、従来のMCI-89歩兵戦闘車に搭載されていた40mm機関砲「CA-88」を1門、「OLV-04」と同軸に装備している。「CA-88」は68口径長の40mm機関砲で、後述する多目的弾の使用に対応するため、砲基部に砲弾初速測定用の小型アンテナが追加されている。

「CA-88」から従来の「PB-89」APDSを使用した場合、至近距離で均質圧延装甲換算150mm、距離1000mで均質圧延装甲換算135mmの装甲貫徹力を発揮する。より密度が高く長い弾芯に、より強力な炸薬の爆発エネルギーを、複合材製のより軽量なサボットを用いて伝達する「PB-05」APFSDSを使用した場合、至近距離で均質圧延装甲換算200mm、距離1000mで均質圧延装甲換算180mmの装甲貫徹力を発揮する。加えて、本車では新規開発の多目的弾「APE-05」を使用可能である。「APE-05」の信管は誘導電流で動作モードを着発、遅延、時限の3モードで変更できる。多数の劣化ウラン製ペレットを内蔵しており、これを設定された爆発パターンで起爆することで、最大3000個の破片を生成、標的に対し最大のダメージを与えることができる。

機関砲はデュアルフィード設計であるため、砲手は2種類の砲弾を任意のタイミングで切り替えることができる。通常、「PB-89」または「PB-05」80発と「APE-05」160発が搭載される。発射速度はセミオートで毎分60発、フルオート時で毎分300発で、この他、フルオート時と同レートでの3点バースト射撃モードを有する。
その他の武装
MCI-04は砲塔上部に、ユニバーサルタレットシステムという名称で開発された「TU-01」複合リモートウェポンステーションを搭載することが可能である。通常、ここには12.7×99mm弾を使用するAP-98重機関銃と、40×55mm弾を使用するLGA-96グレネードランチャーが搭載されることとなっている。可視光カメラモードと赤外線カメラモードに切り替え可能な光学照準器とレーザー測距装置を有し、車長が車内から操縦して目標を攻撃することが可能である。
また、主砲同軸に7.62×51mm弾を使用する汎用機関銃AM-62を搭載している。

ベトロニクス

索敵能力
索敵用のセンサーとしては、車長用パノラマサイト、砲手用サイト、レーザー警戒システムが使用される。
車長用パノラマサイトと砲手用サイトはどちらも砲塔上部に取り付けられている。サイトは倍率1~15倍の無段階可変倍率方式である。従来の車長用サイトや砲手用サイトが直接覗き込む方式であったのに対し、MCI-04では座席に設置された専用モニターで目標を捜索することができるようになった。優れた画像安定化技術による高解像度のサーモグラフィーにより2.5km先の戦車大サイズの目標を検出・識別することが可能で、夜間戦闘での索敵能力に優れる。車長用パノラマサイトは、オーバーライド照準能力およびオーバーライド射撃能力を持っている。砲手用サイトはレーザー測距装置と一体となっている。なおこれらのサイトは、主砲と同様、0.1ミル単位で電気式2軸安定化を受けている。ボタンにより目標をロックオンし、熱源集中部に対する自動追尾を行うことで、砲とサイトを目標に指向し続けることができる。

レーザー警戒システムは、敵の車両や航空機が測距に使用するレーザーを検知して警告するシステムである。砲塔全周の4か所にレーザー検知器が取り付けられているが、これは各種ヘリコプターに搭載された対MANPADS用レーザー検知器を元に開発されているとされる。これにより、自車を照準する戦車やセミアクティブレーザー誘導方式の対戦車ミサイルなどを検知、照射源の方向を1°×1°の精度で特定することが可能である。

改修型であるMCI-04Mでは、以下の装備が追加されている。

まず、MCI-04Mでは、ハードキル/ソフトキル併用タイプのアクティブ防護システム「SPA-4」を装備しているが、このシステムで飛翔体の探知に使用するため、360度全周を警戒可能なミリ波アクティブフェーズドアレイレーダーが搭載されている。主力戦車や歩兵戦闘車といった装甲戦闘車両級の目標を8km以遠から探知できるほか、自車に接近する敵の対戦車ミサイルや対戦車擲弾などを発見することも可能である。アンテナは合計256目標を同時に追尾する能力がある。これは、後述するアクティブ防護システムと組み合わせて運用される。なお、このアンテナはIFFや通信装置として用いることも可能である。

この他、T-15にも搭載されていたESM用アンテナが追加されている。ESM用のアンテナは車体と砲塔の6か所に設置されており、HFからKaバンドまでの周波数帯で各種電磁波を探知可能である。レーダー波を検知した場合、照射源の方向を1°×1°の精度で特定、さらにデータリンクを通じた三角測量などで、照射源までの距離をも特定する。これにより、例えば敵の攻撃ヘリが自車をKaバンドレーダーで捕捉した場合、味方車両と共に直ちにその位置を防空部隊に通報し、散開して攻撃を逃れる、といったことが可能である。
射撃管制システム
射撃管制システムは大容量メモリを有するデジタル式射撃管制コンピューターを中核としている。ここに、EMP攻撃に対する抗堪性に優れた光ファイバーケーブルを経由して、砲手用サイトのレーザー測距装置、ストラップダウン式砲耳軸傾斜計、装薬温度計、気象センサーが結合されている。これら各種センサーからの入力諸元に基づき射撃管制コンピューターは自動で砲制御装置に各種諸元を入力、この情報に基づいて砲弾が発射され、目標に命中する。105mmガンランチャーを使用する場合と40mm機関砲を使用する場合では弾道特性が著しく変化するため、動作モードを切り替える必要がある。また、対戦車ミサイルの発射にも対応する。前述した砲安定化装置と合わせることで、MCI-04は高い命中精度での走行間射撃が可能である。

改修型のMCI-04Mでは、射撃管制システムのプログラムがアップデートされ、後述する近接戦闘部隊統合射撃指揮システムとの連接に対応している。
データリンクシステム
MCI-04はT-90やT-96に追従して戦闘を行うため、当初よりC4I・データリンクシステムに対応することを求められた。T-90やBMP-89では当初より車間情報システムが搭載されていたが、これは車両間での通信にしか対応しておらず、砲兵などの他兵科とは連接されていなかった。この問題を解決するため、「師団戦闘指揮システム」が開発された。「師団戦闘指揮システム」は師団以下の全ての車両・航空機・火砲等、および全てのライフル兵分隊の分隊長に通信端末を配布、衛星測位システムと共通戦術状況図を組み合わせることにより、友軍の位置を常に共通図内で共有してフレンドリーファイアを防ぎ、また発見した目標の情報を入力することで、敵の位置を常に共通図内で共有して警戒することができる仕組みが整えられた。MCI-04では、車載型端末1基が標準搭載されるほか、乗車分隊の分隊長も携帯端末を所持することとなっている。2005年の「NORTE-05」演習では、この「師団戦闘指揮システム」を搭載したT-96とMCI-04が非常に高い戦闘効率を発揮、C4I・データリンクシステムの重要性が確認された。

改修型のMCI-04Mでは、「MCGC-PVC(戦闘車両向け大容量通信モジュール)」を搭載しており、地上軍、海軍、航空宇宙軍が共同開発した「RCEDT」戦術通信システムに対応している。「MCGC(大容量通信モジュール)」は、あらゆる軍種と兵科に共通の高性能通信装置を支給することを目的に開発されており、HF、VHF、UHFでの通信に対応、従来の全ての軍用無線および軍用ネットワーク端末を代替する。必要に応じて、無線機本体に、衛星通信アンテナ、データリンクと射撃管制システムの橋渡しを行う高性能演算装置、長距離通信のリアルタイム性を高めるために必要なセシウム原子時計など各種モジュールを追加してアップデートすることが可能である。T-15では、無線機本体に、衛星通信アンテナおよび高性能演算装置を搭載している。「MCGC-PVC」により「RCEDT」に対応したT-15では、近接戦闘部隊統合射撃指揮システム、火力戦闘支援システム、諸兵科統合戦闘指揮システムなどの各種サブシステムにアクセスできる。

近接戦闘部隊統合射撃指揮システムは、大隊以下の階梯で運用される、各車両のセンサー情報を射撃管制に使用可能なサブミリ秒単位での精度を保ったまま共有するためのシステムである。主力戦車、歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車などの近接戦闘を主とする戦闘車両で使用され、前述した索敵システムと連接されており、発見した目標について従来のように車長が手動で目標を入力する必要はなくなっている。基本的には、小隊を1つの運用単位とし、各運用単位内で火器管制に使用可能な精度での戦術状況共通図を共有し、同一目標への一斉射、各車両への目標割り当て、援護射撃などに利用することが可能である。これにより従来の無線連絡よりも高速で部隊内の意思統一を可能とし、また効率的な索敵と目標撃破を可能とする。

火力戦闘支援システムは、前線の近接戦闘部隊、観測車両、観測用無人機と、各大隊、連隊、旅団、師団隷下の砲兵部隊、空軍の近接航空支援機やマルチロール機、前線航空管制部隊、そして当該システム運用のために新設された統合火力指揮統制所を接続するシステムである。前線の近接戦闘部隊、観測車両、観測用無人機が収集した情報は迅速に処理され、火力支援任務に必要とされる各火砲・砲弾または各航空機と兵装が選定され、各種射撃諸元が計算され、砲兵部隊や航空機にそのデータが転送される。これにより従来よりも遥かに迅速かつ効果的な火力支援が実施可能となる。非常に充実したセンサー類と高い生存性を兼ね備えたT-15は、当該システムの「目」として機能する。

諸兵科統合戦闘指揮システムは師団戦闘指揮システムを発展させたもので、中隊以下の部隊が所持する携帯端末、中隊以上の部隊本部が装備するラップトップ端末、大隊以上の部隊本部に設置される情報処理装置を用い、敵味方の各部隊や車両などの位置を師団内の戦術状況共通図で共有し、指揮統制の効率化を目指すシステムである。このシステムについても、前述した索敵システムと連接されており、発見した目標について従来のように車長が手動で目標を入力する必要はなくなっている。さらに2021年より、各種端末に、AIを導入した戦術状況判断サポートシステムが導入されている。このシステムを利用することで、リアルタイムに変化する戦場の情報を常に更新、AIがその情報とより上位の部隊指揮官からの命令を基に最適な判断をサポート、部隊指揮官はより迅速に適切な意思決定が行えるようになる。下車戦闘中の歩兵ならば分隊単位、戦闘車両については1両単位、無人機や回転翼機などの航空ユニットについては1機単位で表示される。

防御力

装甲
MCI-04ではモジュール式の装甲システムを採用しており、任務に応じてレベル1からレベル3まで3段階で装甲を強化することができる。
レベル1の状態での車体重量はおよそ24tで、水上浮航によって架橋無しでの渡河が可能である。車体正面や砲塔全周に搭載される装甲モジュールは、高強度鋼製のフレーム内にチタニウム合金でセルを形成、各セル内に炭化ケイ素を充填して製造されている。これにより、仮想敵の歩兵戦闘車が装備する25mmAPFSDSや30mmAPDSの直撃に抗堪可能とされている(このことから、レベル1の状態における車体正面の実質装甲厚は均質圧延装甲換算で100mm程度と予想されている)。車体側面の装甲は、高強度鋼に加え重量効率に優れたグラスファイバーからなり、14.5mm徹甲弾の直撃に抗堪可能である。砲塔上面と車体上面の装甲は、152mm砲弾の破片の直撃に抗堪する。また、車体下部はV字装甲となっており、対戦車地雷の爆発からも乗員を保護可能である。

レベル2の状態での車体重量はおよそ28tで、水上浮航による渡河は不可能となる。車体正面と砲塔全周にボルト止めでグラスファイバー入りの増加装甲モジュールが付与される他、上部装甲も強化される。これにより、車体正面と砲塔全周は30mmAPFSDSや35mmAPDS、一部の40mmAPFSDSの直撃に抗堪可能となる。上部装甲は、152mm砲弾や各種ロケット弾に運搬されるMPDP(二用途小型弾頭)クラスター子弾の直撃に抗堪することが可能となっている。これに加え、車体側面に10mmの均質圧延装甲からなるサイドスカートが追加されるが、これは成形炸薬弾が車体に直撃することを防ぐ空間装甲の役割を果たす。

レベル3の状態での車体重量はおよそ37.5tで、これが本車の最大戦闘重量となっている。車体正面と砲塔全周と車体側面にボルト止めでセラミック入りの非常に分厚い増加装甲モジュールが付与される。これにより、車体正面と砲塔全周は最新の40mmAPFSDSの直撃、車体側面は25mmAPFSDSや30mmAPDSの直撃に抗堪可能となる。改修型のMCI-04Mでは、対戦車ミサイル4発が砲塔外部に取り付け可能となった他、後述するように、アクティブ防護システム「SPA-4」が標準搭載され、さらに必要に応じて爆発反応装甲の取り付けもできるようになった。これら全てを装備した場合、MCI-04Mでは車体重量は40tに到達する。
アクティブ防護システム
改修型のMCI-04Mでは、アクティブ防護システムである「SPA-4」が装備されている。「SPA-4」は前述したミリ波レーダーやレーザー警戒装置やレーダー警報装置によって、敵の対戦車ミサイルや砲弾の接近を探知する。まず、探知した目標に対し、レーザーとコード化された赤外線パルスによりジャミングが行われる。それでもなお接近し続ける目標に対しては、目標の飛翔方向から弾道を計算、砲塔周辺に4基並べられた連装発射機のうちどれを射出するのかを決定し、目標の位置、移動速度、移動方向に基づいて迎撃を実施する。迎撃に際しては薬莢に詰められた金属製のペレットを発射、デコイ発射式の対戦車ミサイルに対応するため、発射されてから0.1秒以内に次弾が装填される。各発射機の装弾数は12発である。システムは最大で1700m/sまでの目標を迎撃することができる。システムは車体全周360度をカバーするが、随伴歩兵の保護などのため、必要に応じてその範囲を狭めることができる。
乗員配置
乗員配置は、砲塔に車長と砲手が、車体に操縦手が搭乗する従来と同じ方式である。兵員室は車体後部の装甲カプセル内に設けられており、完全武装した兵員9名が搭乗可能である。なおMCI-04では、初期生産型を除いて、兵員室のガンポートは防御力強化のため全て撤去されている。エンジンは車体正面に配置されており、被弾時には内部剝離した装甲材の破片などをパワーパックが吸収して乗員を保護することができる。車体および砲塔は完全な与圧式CBRNE防護装置を備え、NBC兵器によって汚染された環境下でも行動可能である。

機動力

エンジン・変速機
MCI-04は出力1000馬力の多燃料対応ディーゼルエンジン「MD-04」を搭載している。「MD-04」は排気量約20LのV型12気筒4ストロークディーゼルエンジンで、軽量化のためにアルミ合金や各種複合材を多用していることが特徴である。また、平均標高1800mのメキシコ高原で活動するため、ツインターボが搭載されている。標高が高い地域では空気密度が低下するため、ターボチャージャーを搭載しない場合、エンジン出力は標高100mあたり1%ずつ減少するとされているが、「MD-04」はツインターボの搭載によってこの問題点を解決している。ただし、低地においてツインターボを動作させるとエンジン寿命を縮めてしまうため、基本的にツインターボの使用は空気密度が小さく酸素濃度が低い高地に限定されている。第2世代主力戦車級の出力を有するエンジンを搭載することにより、防護力レベル1の場合の出力重量比は40にも達し、また防護力レベル3の場合でも出力重量比は25と、非常に高い水準を維持している。また、エンジンは-50度から+60度までのあらゆる温度範囲で正常に動作し、また3重のエアフィルターにより99%を超える粒子を除去することが出来るため、砂塵の多いメキシコ北部の砂漠などでも使用可能である。燃料は車内に900Lまで搭載でき、その航続距離はおよそ750kmとされる。また、車体後部に外装式の増槽を搭載すれば、燃料搭載量は1200Lに増加するため、航続距離は1000kmに増加する。

変速機には前進5段、後進5段のオートマチックトランスミッションを採用している。エンジンと変速機はパワーパックとして一体化されており、エンジンを横置き配置とすることでパワーパックをコンパクトにまとめ、車体を小型化することに寄与している。最大戦闘重量時であっても、最高時速は整地であれば時速75km、不整地でも時速60kmに達する。なお、後退時にも前進時と同じ速度を発揮可能であり、迅速な陣地転換に役立つ。変速機は、時速40kmまで5秒以内に加速する優れた加速性能、時速60kmから2m以内に停車する制動性能を持ち合わせる。
水上浮航
MCI-04は渡河作戦に従事することを想定しており、水上浮航能力が設計当初より要求されていた。このため、防護力レベル1の場合MCI-04は渡河能力を有しており、機甲部隊が渡河する場合に部隊を先導する役割を担う。水上浮航時は、両側の側面装甲に内蔵された膨張式フロートおよび車体正面の波切板を展開し、さらに車体下部に設置されたウォータージェット推進装置を駆動させる。これにより、水上を12ノットの速度で航行することが可能である。なお、MCI-04の水上浮航能力は渡河作戦を想定したものであり、上陸作戦において洋上を航行することは想定されていない。
操縦
操縦手は操縦士用潜望鏡の他、カラーディスプレイを通じて車体前方および後方に設けられた操縦手用カメラの映像を確認することができ、これを用いて操縦を行う。また、これまでの歩兵戦闘車ではメーター型だった各種計器をフラットパネル化している。操向装置には流体を使用したハイドロスタティック式操向装置が使用されており、スムーズな旋回が可能となっている。
懸架方式
懸架装置としては、信頼性の高いトーションバー式を採用している。片側7個の転輪、3個の上部支持輪、前部起動輪、後部誘導輪から構成されるオーソドックスな形態である。加えて、全転輪にショックアブソーバーが装備されており、高い出力重量比も相まって、非常に高い不整地走破性能を有する。

派生型

MCI-04

MCI-04は基本型である。2003年から量産が開始され、2012年までに2200両が生産された。現在はMCI-04Aの名称で開発が進められ、後にMCI-12と名称変更された新型歩兵戦闘車の製造にラインが移行している。
MCI-04M
MCI-04MはMCI-04の改修型である。最大の目玉は「MCGC-PVC(戦闘車両向け大容量通信モジュール)」の搭載により「RCEDT」戦術通信システムに対応、同システムを利用した様々な戦術アプリケーションにアクセス可能となったことである。またこれに合わせ、射撃管制システムが「RCEDT」を用いた近接戦闘部隊統合射撃指揮システムに連接可能となっている。この他、砲塔外部への大型対戦車ミサイルの追加装備、アクティブ防護システムの搭載とそれに伴うレーザー警戒装置の更新およびミリ波レーダーとESMアンテナの追加装備、爆発反応装甲の搭載など各種改良が行われている。

MCI-04A

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