CAP-09自走カノン砲
要目
全長8.7m
車体長7.2m
全幅2.7m
全高2.5m
重量25t
速度75km/h(整地)
60km/h(不整地)
(いずれも最大戦闘重量時)
乗員4名
搭載兵装54口径122mm滑腔砲
12.7mm重機関銃(砲塔上面)
40mmグレネードランチャー(砲塔上面)
エンジン750馬力ディーゼル・ガスタービン複合エンジン

概要

CAP-09はグラン・メキシコ軍が運用している自走榴弾砲。グラン・メキシコ軍は伝統的に長射程の榴弾砲を全て「カノン砲」と呼称しており、本車両も「自走カノン砲」に分類されている。従来のCAP-89 122mm自走カノン砲を代替するため、「共通汎用装軌車両」として開発された「レオパルド」装甲戦闘車両共通プラットフォームに基づいて開発された。より延長された射程を持つ新しい砲システム、より改良されたC4Iシステムが、より高い戦術機動性・整備性を持つ新しい車体に搭載されていることで、現代戦に適合した新たな自走砲となっている。CAP-15 152mm自走カノン砲をスケールダウンしたような性能であり、射程と砲威力で劣るが、より小型軽量でなおかつ水上浮航性能を備えるため、柔軟な火力支援が可能である。このため、CAP-15は師団直轄の砲兵連隊に、CAP-09は連隊直轄の砲兵大隊にそれぞれ配備されるという形で棲み分けが行われている。ユニットコストは2022年現在、米ドル換算で200万ドルである。グラン・メキシコ軍はCAP-09を2030年までに1800両調達して既存の122mm自走カノン砲を将来的に代替する方針である。

能力

火器

主砲
CAP-09の主武装となるのは、大型砲塔に装備された長砲身カノン砲「C-09」である。前任のCAP-89に搭載されていた「C-89」の口径長は32口径、改良型であるCAP-90Aに搭載されていた「C-99」の口径長は42口径であるのに対し、本車両の搭載する「C-15」の口径長は54口径も達し、砲身の長さは6.5mを超える。前任のCAP-89と同様に砲口径は122mmで、従来グラン・メキシコ軍が運用してきたあらゆるタイプの122mm砲弾の運用能力を備えている。長砲身化されたことにより従来と同じ砲弾を使用しながら従来よりも遠距離を砲撃することが可能である。例えば、1990年にCAP-90と同時に採用された「APE-90」高性能通常榴弾を発射した場合、CAP-90では16km、CAP-90Aで20km先の目標までしか攻撃することができないのに対し、CAP-09では最大で25km先の目標を攻撃することができる。

「C-09」はほとんど「C-89」と同じ設計となっており、多くの部品は互換性を有する。砲身は新規設計されたもので、電気溶鉱炉で製造された高強度鋼を鍛造して成形した後、水圧により自緊させることによって、肉薄、強靭、安価な砲身の製造に成功している。腐食防止のため、砲内部にはクロムメッキが施されている。これにより、砲身寿命はおよそ2倍に延長されており、1万発以上の射撃が可能とされる。強化された装薬での発射に対応するため、砲口にはライフリングに沿って螺旋状に開口された多孔式砲口制退器(マズルブレーキ)を備える。またマズルブレーキ横には砲口照合装置が搭載されており、砲基部のレーザー送受信部と組み合わせて砲身の歪みを検知する。
砲弾
CAP-09では、多種多様な砲弾を使用可能である。1990年代、CAP-89の配備と並行して「モジュール砲弾・装薬システム」が整備され、分離式のモジュール装薬である「CS-89」、モジュール化された信管を備えた「APE-89」高性能通常榴弾および従来の瞬発、延期、近接信管を全て代替する「EA-89」多目的信管が軍内に普及された。この他、「CS-89」を用いて発射可能な各種砲弾として、「OR-93」対人/対車両クラスター弾、「APEG-97」レーザー誘導砲弾、「APEG-02」精密誘導砲弾が開発された。CAP-09の開発に当たっては、「モジュール砲弾・装薬システム」についても一新することを目的に、前述した新型の点火システムに対応して「第二世代モジュール砲弾・装薬システム」が整備され、より低感度でかつ強力なユニチャージ装薬である「CS-09」、より強力な破壊力を持つ砲弾である「APE-09」高性能通常榴弾やより新しい信管である「EA-15」弾道修正機能付き多目的信管が開発されている。ここでは、上記の砲弾、装薬、信管について解説する。この他、設計上はさらに旧式の砲弾や装薬や信管を使用することも可能であるが、ここでは解説しない。

砲弾

装薬

信管

自動装填装置
グラン・メキシコ軍が従来運用してきたCAP-89自走砲では、砲弾については完全自動装填が達成されていたが、装薬については手動で装填することとされていた。CAP-09では、装薬についても完全自動装填化を達成しており、これにより乗員はCAP-89の5名から4名にまで削減されている。

自動装填装置は全電動式で、10秒間に最大5発のバースト射撃を、1分間に最大12発の持続射撃を行うことが可能である。自動装填装置は主砲の俯仰角に自動的に連動して砲弾を装填する能力があり、主砲最大仰角の75度時でも砲弾の装填が可能である。砲塔内の弾薬庫には40発分の砲弾と樹脂製カートリッジに格納されたモジュール式発射装薬200個が搭載可能で、内部に搭載されている砲弾の種類と数量は、デジタル式の弾薬管理システムで管理されている。このシステムを用いることで、砲手は使用する弾薬の種類を速やかに選択することが可能である。また、外部からの給弾による射撃も可能で、その場合は砲塔後部から装填コンベアを引き出し、ここに砲弾と発射装薬を載せることで、半自動装填方式で射撃を行う。さらに、自動装填装置が故障するなどした場合には、全ての装填作業を手動で行うこともできる。
その他の武装
CAP-09自走砲は、砲塔上部にユニバーサルタレットシステムという名称で開発された「TU-01」複合リモートウェポンステーションを搭載することが可能である。通常、ここには12.7×99mm弾を使用するAP-98重機関銃と、40×55mm弾を使用するLGA-96グレネードランチャーが搭載されることとなっている。可視光カメラモードと赤外線カメラモードに切り替え可能な光学照準器とレーザー測距装置を有し、車長が車内から操縦して目標を攻撃することが可能である。
また、主砲同軸に7.62×51mm弾を使用する汎用機関銃AM-62を搭載している。

ベトロニクス

射撃管制システム
CAP-09の射撃管制システムは、デジタル式の高性能弾道コンピュータを中核に構成されており、デジタル式弾薬管理システム、自己位置標定システム、電流式信管調定装置、後述する「RCEDT」データリンクシステム用の通信端末などに接続されている。発射時には、統合火力指揮統制所で計算された射撃諸元および使用すべき砲弾と装薬など各種データを受信し、受信データに基づき指定された種類の砲弾および指定された種類・個数の装薬をデジタル式弾薬管理システムを経由して装填、続いて衛星測位システムと慣性航法装置を利用する自己位置標定システムにより自己位置を確認、適切な射角を計算して射撃する。自己位置標定システムが使用不可能な場合は砲向盤、パノラマ眼鏡、コリメーター、標桿などを利用して諸元を入力することができる。ただしこの場合、射撃陣地への進入から射撃までにかかる時間が大幅に長くなってしまう他、入力ミスやそれに伴う弾着位置のズレなどが発生するリスクがある(射撃に使用される方位角の単位「ミル」は、円周を6400等分した単位であるが、長大な射程を有する自走砲においては、1ミル間違えるだけであっても、10km先の目標に対しては約10m、25km先の目標に対しては約25mもの弾着のズレが生じてしまう)。
データリンクシステム
CAP-09は、「MCGC-PVC(戦闘車両向け大容量通信モジュール)」を搭載しており、地上軍、海軍、航空宇宙軍が共同開発した「RCEDT」戦術データリンクシステムに対応している。「MCGC(大容量通信モジュール)」は、あらゆる軍種と兵科に共通の高性能通信装置を支給することを目的に開発されており、HF、VHF、UHFでの通信に対応、従来の全ての軍用無線および軍用ネットワーク端末を代替する。必要に応じて、無線機本体に、衛星通信アンテナ、データリンクと射撃管制システムの橋渡しを行う高性能演算装置、長距離通信のリアルタイム性を高めるために必要なセシウム原子時計など各種モジュールを追加してアップデートすることが可能である。CAP-09では、無線機本体に、衛星通信アンテナを搭載している。「MCGC-PVC」により「RCEDT」に対応したCAP-09では、火力戦闘支援システム、諸兵科統合戦闘指揮システムなどの各種サブシステムにアクセスできる。

火力戦闘支援システムは、前線の近接戦闘部隊、観測車両、観測用無人機と、各大隊、連隊、旅団、師団隷下の砲兵部隊、空軍の近接航空支援機やマルチロール機、前線航空管制部隊、そして当該システム運用のために新設された統合火力指揮統制所を接続するシステムである。前線の近接戦闘部隊、観測車両、観測用無人機が収集した情報は迅速に処理され、火力支援任務に必要とされる各火砲・砲弾または各航空機と兵装が選定され、各種射撃諸元が計算され、砲兵部隊や航空機にそのデータが転送される。これにより従来よりも遥かに迅速かつ効果的な火力支援が実施可能となる。CAP-09はこのシステムに組み込まれ、シューティングユニットとして実際に火力支援任務を担当する。

諸兵科統合戦闘指揮システムは師団戦闘指揮システムを発展させたもので、中隊以下の部隊が所持する携帯端末、中隊以上の部隊本部が装備するラップトップ端末、大隊以上の部隊本部に設置される情報処理装置を用い、敵味方の各部隊や車両などの位置を師団内の戦術状況共通図で共有し、指揮統制の効率化を目指すシステムである。このシステムについても、前述した索敵システムと連接されており、発見した目標について従来のように車長が手動で目標を入力する必要はなくなっている。さらに2021年より、各種端末に、AIを導入した戦術状況判断サポートシステムが導入されている。このシステムを利用することで、リアルタイムに変化する戦場の情報を常に更新、AIがその情報とより上位の部隊指揮官からの命令を基に最適な判断をサポート、部隊指揮官はより迅速に適切な意思決定が行えるようになる。下車戦闘中の歩兵ならば分隊単位、戦闘車両については1両単位、無人機や回転翼機などの航空ユニットについては1機単位で表示される。

防御力

装甲
CAP-09においては、砲塔と車体の全周で152mm砲弾の破片の直撃に抗堪することが要求されている。砲塔装甲および車体装甲はT-10主力戦車やT-15主力戦車と共通の新型均質圧延装甲を採用している。鋼板内の結晶を微細化することにより、同重量の装甲で、CAP-89の均質圧延装甲よりも15~20%程度防御力を向上させている。また、温度変化による防御力低下に強く、昼夜の寒暖差が非常に激しい砂漠での戦車戦でも安定した防御力を発揮する。天板装甲については通常の均質圧延装甲と耐火ゴムを組み合わせたものとなっており、耐火ゴムが空間装甲の役割を果たす。各部の装甲はボルト止めとなっており、被弾時に前線で容易に取り換えることが可能である。
耐弾試験においては、要求通り、全周で152mm砲弾の破片の直撃に抗堪することが確認されている。
乗員配置
乗員配置は、砲塔に車長と砲手と装填手が、車体に操縦手が搭乗する方式である。本車では、砲弾と装薬両方の装填が自動化されたため、当初乗員を車長、砲手、装填手2名、操縦手の計5名から、車長、砲手、操縦手の3名まで削減する計画であった。しかし、射撃陣地の構築、車体の清掃や整備などの各種作業における乗員の負担を軽減する必要があることなどを考慮し、乗員数は最終的に車長、砲手、装填手、操縦手の計4名となった。車体および砲塔は完全な与圧式CBRNE防護装置を備え、NBC兵器によって汚染された環境下でも行動可能である。

機動力

エンジン・変速機
CAP-09はMCI-04のシャーシをベースに開発されているため、出力1000馬力の多燃料対応ディーゼルエンジン「MD-04」を搭載している。「MD-04」は排気量約20LのV型12気筒4ストロークディーゼルエンジンで、軽量化のためにアルミ合金や各種複合材を多用していることが特徴である。また、平均標高1800mのメキシコ高原で活動するため、ツインターボが搭載されている。標高が高い地域では空気密度が低下するため、ターボチャージャーを搭載しない場合、エンジン出力は標高100mあたり1%ずつ減少するとされているが、「MD-04」はツインターボの搭載によってこの問題点を解決している。ただし、低地においてツインターボを動作させるとエンジン寿命を縮めてしまうため、基本的にツインターボの使用は空気密度が小さく酸素濃度が低い高地に限定されている。第2世代主力戦車級の出力を有するエンジンを搭載することにより、防護力レベル1の場合の出力重量比は40にも達し、また防護力レベル3の場合でも出力重量比は25と、非常に高い水準を維持している。また、エンジンは-50度から+60度までのあらゆる温度範囲で正常に動作し、また3重のエアフィルターにより99%を超える粒子を除去することが出来るため、砂塵の多いメキシコ北部の砂漠などでも使用可能である。燃料は車内に900Lまで搭載でき、その航続距離はおよそ750kmとされる。また、車体後部に外装式の増槽を搭載すれば、燃料搭載量は1200Lに増加するため、航続距離は1000kmに増加する。

変速機には前進5段、後進5段のオートマチックトランスミッションを採用している。エンジンと変速機はパワーパックとして一体化されており、エンジンを横置き配置とすることでパワーパックをコンパクトにまとめ、車体を小型化することに寄与している。最大戦闘重量時であっても、最高時速は整地であれば時速75km、不整地でも時速60kmに達する。なお、後退時にも前進時と同じ速度を発揮可能であり、迅速な陣地転換に役立つ。変速機は、時速40kmまで5秒以内に加速する優れた加速性能、時速60kmから2m以内に停車する制動性能を持ち合わせる。
水上浮航
CAP-09は渡河作戦に従事することを想定しており、水上浮航能力が設計当初より要求されていた。このため、CAP-09は渡河能力を有しており、機甲部隊が渡河する場合に部隊を支援する役割を担う。水上浮航時は、両側の側面装甲に内蔵された膨張式フロートおよび車体正面の波切板を展開し、さらに車体下部に設置されたウォータージェット推進装置を駆動させる。これにより、水上を12ノットの速度で航行することが可能である。なお、MCI-04同様、CAP-09の水上浮航能力は渡河作戦を想定したものであり、上陸作戦において洋上を航行することは想定されていない。
操縦
操縦手は操縦士用潜望鏡の他、カラーディスプレイを通じて車体前方および後方に設けられた操縦手用カメラの映像を確認することができ、これを用いて操縦を行う。また、これまでの歩兵戦闘車ではメーター型だった各種計器をフラットパネル化している。操向装置には流体を使用したハイドロスタティック式操向装置が使用されており、スムーズな旋回が可能となっている。
懸架方式
懸架装置としては、信頼性の高いトーションバー式を採用している。片側6個の転輪、3個の上部支持輪、前部誘導輪、後部起動輪から構成されるオーソドックスな形態である。加えて、全転輪にショックアブソーバーが装備されており、高い出力重量比も相まって、非常に高い不整地走破性能を有する。

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