第2.65世界線　【架空国家を作ろう】

1858年、ビザンツ・ギリシア帝国が国家として完全に独立した後に皇帝の長男として誕生した。彼はバイエルン王家の親戚であり幼少期はドイツ語で話し、ドイツ人として育った。実際、アテネにある宮殿では使用人も含めて日常会話は全てドイツ語で話されていた。そしてドイツ人の比率が多かった*1。
そのため、彼は10歳になるまで自分の国をドイツ地域の何処かと考えていた。しかし、本格的な教育が始まり自分の国がギリシアだと知り驚愕したという。ドイツどころか中欧ですらない、まだ独立したばかりの国家の王子だった事を知った彼はショックを受けた。
その結果、彼はギリシアのドイツ化を推し進める事を決定した。彼は積極的に勉学に励み、将来政治で困らないように準備を始めた。そんな彼の様子は使用人たちから将来有望であると同時に彼が将来行おうとする政策はこれまでオスマン帝国に圧政を強いられていたギリシア人の反発を招くのではないかと心配になったという。
立派な青年になり政治に関わるようになりギリシア人たちが自分たちに不信を覚えている事を知った。ギリシア人の国家にも関わらず、自分たちの国家元首はドイツ人であるという事が国内で反発と不満を生み出していたのである。そんな状況で父親が暗殺で急死。28歳の若さで皇帝に戴冠する事となった。
皇帝となった彼はドイツ人化を一旦中止してギリシア人の信頼を得る事を始めた。国内インフラの整備や税を下げるなど日常生活と密着した部分の改革を行っていった。その一方で彼は1893年に荒廃していたアクロポリスに目を付けた。ギリシア人がかつて反映していたその遺跡を修復、保存することでギリシア人の信頼を得られると考えたのである。これに対してギリシア人は歓喜をもって迎えた。更に元々一度決めたら突き進む性格の彼はアクロポリスの資料を集め、忠実に修復する準備を行った。
しかし、そこで彼はギリシア文化に惹かれた。それまでギリシア人を何処か見下していた彼は自分たちにも劣らない文明がここにあったという事が衝撃であり彼の心をつかむには充分だった。彼は気づけばギリシア人の信頼を得る為ではなく古代ギリシアの集大成をこの目で見たいと思って進めていた。彼の変貌に使用人たちは驚きつつも歓迎した。
アクロポリスの修復は彼の私財も投入して大々的に進み、これまで未発見だったものが判明するなど古代ギリシアの歴史の解明に一躍買った。そこからの彼の人生は終始アクロポリスの修復に全力を注ぐようになった。その一方で他の政治を疎かにすることはなく国内は安定していた。
そんな彼は第一次世界大戦中に事故死した。アクロポリスの視察に来ていた彼は突如として崩れてきた柱の下敷きになり圧死したのである。調査の結果、完全なる事故死であったが皇帝を殺してしまったとして当時の修復関係者の何割かは死刑などの重罪に処された。アクロポリスの修復も一度は中止されたが皇帝が求めたかつての姿を見せるべきだとして次の皇帝がそう宣言しアクロポリスの修復は国家主導で行われた。
彼の死後30年程たってアクロポリスの麓に作られた博物館前に銅像が作られた。彼が最初こそ打算があったが最後はギリシア文化の復興者となり彼の偉業は今でもギリシアの人々の心に深く刻まれている。

彼が青年になる頃にはバイエルン王国との連絡は途切れ、完全にビザンツ・ギリシア帝国の皇族として独立していた。そのため、こちらの皇族とのつながりはあるがバイエルン王国とのつながりは薄くなっていた。

上記の通りアクロポリスの復興者として知られている。